バンフにいると、街を歩いていても山が見えるし、少しバスや車に乗れば、湖のほとりや森の中、高山帯まで歩きに行くことができます。
— せっかくカナディアンロッキーに来たなら、少し山を歩いてみたい —
そんな人には、バンフ・キャンモア周辺のハイキングにも行ってみてほしい。そこで、難しい登山や遠くの山ではなく、バンフを拠点に日帰りで歩きやすく、はじめてのロッキー旅でも計画に入れやすい場所を集めました。
街からそのまま歩ける山。
観光の途中で少し足を延ばせるトレイル。
ゴンドラを使って高山帯へ行ける場所。
そして、少し頑張って山頂を目指す一日。
同じカナディアンロッキーでも、歩く場所によって見える景色はずいぶん違います。
今日はどんな山を歩きたいか。
そんなことを考えながら見てみてください。
※トレイルの最新情報は出発前にParks Canada、Alberta Parksなどの公式サイトを確認してください。
今日はどんな山を歩く?
| Trail | 距離の目安 | こんな日に |
|---|---|---|
| Tunnel Mountain | 約4.6km | バンフの街から歩きたい |
| Johnston Canyon | 約4.8km | 観光の途中に気軽に歩きたい |
| Grassi Lakes | 約3.8km | 近くの綺麗な湖を見たい |
| Lake Agnes | 約7.8km | Lake Louise+山歩き |
| Sunshine Meadows | コースによる | 高山帯をのんびり歩きたい |
| Larch Valley / Sentinel Pass | 約9〜11.2km | ロッキーらしい景色を歩きたい |
| Ha Ling Peak | 約7.8km | 山頂までしっかり登りたい |
| Healy Pass | 約17.6km | お花がみたい |
距離が短いから、必ず簡単というわけではありません。特にHa Ling PeakやHealy Pass、Sentinel Passは、特別な登攀技術が必要な一般登山道ではありませんが、標高差や距離があるので体力は必要です。
Tunnel Mountain
バンフの街から、そのまま山へ

距離:約4.6km往復
標高差:約275m
所要時間:約2時間

バンフに着いて最初に山を歩くなら、Tunnel Mountainはとても選びやすい場所です。
登山口はダウンタウンから徒歩圏内。
わざわざ車を用意しなくても、街から歩き始めて、そのままひとつの山の頂上に立つことができます。
森の中をスイッチバックで登っていくと、少しずつBow Valleyが見えてきます。
山頂から見えるのは、バンフの街とBow River、そして目の前に大きく伸びるMount Rundle。
ものすごく高い山ではないけれど、バンフの街と山をひとつに感じられる場所です。
バンフも街が小さくて、とっても可愛く見えます。そんなところもお気に入り。
意外と知られていないのが、トンネルマウンテンからのMount Rundleの景色。圧巻です。
到着日の午後や、旅の途中で少し時間が空いた日にも。
まず一度ロッキーを歩いてみたい、思い立った時に行けるのが嬉しい山です。
Sleeping Buffalo
昔からこの地に住むネイティブカナディアンのStoney Nakodaの人々にとって、この山はSleeping Buffalo(眠るバッファロー)として知られてきました。キャンモアからバンフに向かう道から見えるトンネルマウンテンは、まさにバッファローの姿に見えます!
Johnston Canyon
山だけじゃない、ロッキーを歩ける

Lower Fallsまで:片道約1.1km
Upper Fallsまで:片道約2.4km
Upper Fallsまで往復:約2時間

Johnston Canyonでは、川が削った細い渓谷の中を歩きます。
岩壁に沿って作られた遊歩道を進み、川を見下ろしたり、滝の音を聞いたり。
Lower Fallsまでなら比較的短く、もう少し歩きたい人はUpper Fallsへ。その先のInk Potsまで足を延ばすこともできます。
登山というより、ロッキーの自然の中を歩く散策に近い場所。これがロッキーハイキング。
山歩きに慣れていない方でも選びやすく、バンフ観光の一日に組み込みやすいのも魅力です。
有名な場所なので混雑することもあります。
それでも、山頂とは違うロッキーの景色を歩ける場所として、一度は訪れてみたい場所です。

夏季にはBanffから公共交通でアクセスできるので、訪れる前に最新の運行情報を確認してみてください。
Grassi Lakes
街のすぐそばにある、青い湖


距離:約3.8km往復
標高差:約125m


Canmoreまで足を延ばしたら、Grassi Lakesへ。
距離は短いのに、目的地には驚くほど透明な青緑色の湖があります。
Grassi Lakesへ向かう道は途中でふたつに分かれます。
ひとつは、比較的なだらかなUpper Trail。
もうひとつは、滝やCanmoreの街を見下ろしながら登るInterpretive Trail。
長い山歩きをするほど時間はない。でも、せっかくロッキーにいるなら少し自然の中を歩きたい。
そんな日にちょうどいい場所です。
湖の周りにはクライミングエリアもあって、歩いているとCanmoreらしいアウトドアの空気を感じます。
こちらも公共バス(Roam Bus)でアクセスできます。
Lake Agnes
Lake Louiseから、さらに奥へ


距離:約7.8km往復
標高差:約495m
所要時間:約2.5〜3時間


Lake Louiseを訪れるなら、湖畔から少し山の中へ歩いてみるのもおすすめです。
Lake Louiseの奥から登山道へ入り、森の中を登っていくとMirror Lake。
さらに登った先にLake Agnesがあります。湖畔には、夏季に営業する小さなTea House。
観光地としてのLake Louiseから、少しずつ「山の中」へ入っていく感じが好きなルートです。
まだ歩けそうなら、Lake AgnesからLittle BeehiveやBig Beehiveまで延ばすこともできます。
湖を見て終わるか。
もう少し上まで行ってみるか。
その日の時間や体力で決められるのも、このルートのいいところです。
Lake Louiseへのアクセスは季節によってシャトルや公共交通の利用が中心になるため、事前に交通手段を確認しておくのがおすすめです。
Lake Agnes|100年以上続く山のTea House
Lake Agnesの湖畔にあるTea Houseには、100年以上にわたってハイカーを迎えてきた歴史があります。森の中を登った先で、湖を眺めながら温かい飲み物を飲む。今も続くその時間も、Lake Agnesを歩く楽しみのひとつです。
Sunshine Meadows
歩き始めたところから、もう高山帯


ルートによる
所要時間:約1〜3時間


ロッキーのハイキングで好きな瞬間のひとつが、森を抜けて景色が一気に広がるとき。
Sunshine Meadowsでは、その景色までゴンドラとリフトを使って上がることができます。
標高の高い場所から歩き始められるので、大きな標高差を登らなくても、高山植物の咲く草原やアルパインレイク、森林限界付近の景色を楽しめます。歩くルートはいくつかあり、その日の時間や体力に合わせて組み合わせることができます。
山頂を目指す登山とは少し違います。
景色を見ながら、のんびり歩く。花を見たり、湖のそばで休んだりする。
ロッキーの高山帯を歩いてみたいけれど、長い登りはちょっと……という人にもぜひ。
夏のゴンドラ営業期間やBanffからの交通手段は年によって変わるので、訪れる年の営業情報を確認してください。
歩いて大陸分水嶺を越える
Sunshine Meadowsを歩いていると、途中で**Continental Divide(大陸分水嶺)**を越えます。ここはアルバータ州とブリティッシュコロンビア州の境界でもあり、降った雨や雪解け水が、それぞれ違う方向へ流れていく境目。何気なく歩いている場所が、大陸の水の流れを分けている。そう思うと、景色の見え方もちょっと変わります。
Larch Valley & Sentinel Pass
Moraine Lakeから、さらに奥へ
Larch Valleyまで:往復約9km / 標高差約570m
Sentinel Passまで:往復約11.2km / 標高差約750m


Moraine Lakeから歩き始めるLarch Valley。最初は森の中をスイッチバックで登ります。
しばらく登って木々の間が開いてくると、目の前にTen Peaks。
夏の緑もきれいですが、秋になるとLarch(カラマツ)が黄色く染まり、景色がまったく変わります。
Larch Valleyまででも十分にきれい。そこからさらに歩けそうなら、Sentinel Passへ。
最後のスイッチバックを登りきると、Larch ValleyとParadise Valleyの間に立つ峠へ出ます。
「カナディアンロッキーを歩きに来た」と強く感じられる場所。
アクセスには少し計画が必要です。
Moraine Lake Roadは一般車両で入れないため、シャトルなどを利用します。
少し手間はかかる。でも、そのひと手間をかけてでも歩きたい景色があります。
Larch(カラマツ)は、松のような針葉樹ですが、実は秋になると葉を黄色く染め、そのあと落葉する珍しい針葉樹です。夏は緑色だった山が、9月になると一気に黄金色へ。
Ha Ling Peak
今日はピークに立ちたい


距離:約7.8km往復
標高差:約810m


Canmoreの街から見上げると、すぐそばに大きな岩山があります。
Ha Ling Peakは、そのひとつ。
ここまで紹介してきたトレイルより、ぐっと「登山」らしくなります。
距離だけを見ると、それほど長くありません。
でも、山頂まで約810mを一気に登るので、ほとんどずっと登り。
森の中を登り続け、標高を上げていくと少しずつ視界が開けます。
そして上から振り返ると、Canmoreの街とBow Valleyがずっと下に見える。
— Canmoreから見上げていたあの場所に立っているんだ —
そんな達成感や高揚感を味わう山。
特別な登攀技術が必要な一般登山道ではありませんが、急な登りと大きな標高差があります。
気軽な散策ではなく、今日は山頂に立ちたいという日に。


Healy Pass
のんびり、一日かけて山の奥へ


距離:約17.6km往復
標高差:約650m
所要時間:約6〜7時間


最後はHealy Pass。Sunshine Villageのベースエリアから歩き始め、Healy Creek沿いの森を長く歩きます。
最初から大展望があるわけではありません。森の中を歩いて、少しずつ標高を上げて。その先で突然、景色が開きます。
森林限界を越えた先には、広い草原と山。
夏には高山植物が咲き、9月後半になると点在するLarchが黄色く変わっていきます。
距離は長い。
だから、「観光のついで」というよりは、この日そのものを山に使いたい場所です。
短時間で絶景まで行くハイキングも楽しい。
でも、森の中を長く歩いて、少しずつ景色が変わっていく時間も好きです。
歩いた分だけ、遠くまで来た感じがする。Healy Passは、そんな一日です。



ロッキーで1番のお花畑をあげるとしたら、Healy Passです。
ここでしか見れない一面のお花畑は、泣きそうになりました。


車がなくても大丈夫、ロッキーはすぐそこ
カナディアンロッキーというと、「車がないと何もできないのでは?」と思うかもしれません。
もちろん、車がある方が行ける場所は増えます。
でも、今回紹介した場所には、バンフの街から徒歩で行けるTunnel Mountainをはじめ、Roam Transitやシャトルを利用してアクセスできる場所もあります。
車を借りる日。
バスで出かける日。
街からそのまま歩く日。
その日の予定に合わせて山を選べるのも、バンフを拠点にする面白さです。
公共交通やシャトルの路線・運行期間は変わることがあるので、出発前に最新情報を確認してください。
ロッキーを歩く前に
カナディアンロッキーでは、同じ夏でも場所や標高によってコンディションが大きく違います。
晴れていたと思ったら雨が降ったり、標高の高い場所では雪が残っていたり。
出発前にはParks CanadaやAlberta ParksのTrail Reportを確認してください。
そして、山ではベアスプレーをすぐ使える位置に携帯します。
Kananaskis CountryのGrassi LakesやHa Lingへ車で行く場合には、Kananaskis Conservation Passが必要になる場合があります。
「昨日歩けたから今日も大丈夫」ではなく、今日の山の状態を見てから出かける。それも山歩きの一部です。
今日はどこを歩こう?
同じ旅の中でも、選ぶ山によって一日はまったく違うものになります。
同じ山でも季節や天気によって異なる景色を見せてくれます。
その日の天気と、時間と、自分の足に合う場所をひとつ選んで歩く。
カナディアンロッキーを楽しむなら、それくらいがちょうどいいのかもしれません。
装備についてはこちら。




山を歩く前に|Safety Note
当サイトに掲載されている場所およびハイキングコースは、著者が調査したものであり、掲載時点では正確であると考えられています。著者は、ルート沿いで発生する不測の事態について一切責任を負いません。ハイキングや登山に伴うあらゆる危険を認識し、安全確保は自己責任であることをご理解ください。















